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2017.12.11 レポート 

気仙沼ESD/RCE円卓会議2017が開催されました(11/2気仙沼市)

【気仙沼ESD/RCE円卓会議2017】
日時:2017年11月2日(木)13:00~17:10
会場:気仙沼市面瀬小学校
主催:気仙沼市教育委員会、宮城教育大学ESD/ユネスコスクール・東北コンソーシアム、気仙沼ESD/RCE推進委員会
共催:東北地方ESD活動支援センター
 
(1) 開会あいさつ 気仙沼市教育委員会 教育長 齋藤益男氏
 
(2) 講話「SDGsの達成に貢献するESDと新学習指導要領」
日本ユネスコ国内委員会 委員、東京大学海洋教育促進研究センター 及川幸彦氏

 日本国内には1,000以上のユネスコスクールがあり、世界で最多の数です。SDGsの17のゴールは、これまで気仙沼市で取り組んできたESDの取り組みと合致するものです。4番目には教育があり、「海と生きる」を掲げる気仙沼にとって14番目の「海の資源を守る」も深くつながります。気仙沼にとって海洋の保全は暮らしと密着しており、その観点からは13番目の気候変動、防災の視点からは11番のまちづくりと関係するでしょう。
 SDGsの何に結び付いているのか、まずは意識することが大切です。そして気仙沼にとって大事なゴールはどれか、絞り込む必要があります。さらに各学校版や気仙沼版のSDGsへと落とし込まないと活用は難しいとも考えています。SDGsによって、ESDの活動に新たな意義や価値をつけ、目標を明確化が図れるでしょう。これにより、身近な活動が世界につながることを実感できますが、そのためにはまず足元の課題を見つめ直すことが大切だと考えます。
 中央教育審議会では「ESDは次期学習指導要領改訂の全体において基盤となる理念」だとしており、新学習指導要領の前文では法律用語ではないために「ESD」の文言こそ入りませんでしたが、中核にはESDがあります。一方で、内容を読んでもらうとまさに気仙沼が16年間挑戦してきた中身そのものです。ぜひ自信を持って、気仙沼らしい取組を継続してもらいたいと思っています。

(3)気仙沼市ESD・地域事例発表
 
■事例1「地域展開によって生まれた新たな学びの場」
1)学校の願いに応えた「学社融合事業」について
面瀬小学校 教諭 阿部正人氏

 地域の人との関わり、自然との関わり、担い手の育成を目標に掲げ、6つのアクションプランを策定しました。学校と地域が協働で子どもを育むことを目指して、まちづくり協議会と連携しています。子どもも大人も一緒に遊んだり畑仕事などの農作業を体験できる「面瀬川ふれあい農園」では、企業から提供を受けた海藻肥料で夏野菜を育てました。夏休みには保護者と一緒に草取りをし、企業からメカジキの提供を受けて、肉の代わりにメカジキを使った気仙沼らしい夏野菜カレー作りを行いました。食育とともに海洋教育が行えるプログラムで、この取組はみやぎ食育大賞を受賞しました。
 
2)学びの連続性をとらえた「海洋教育」の実践について
①唐桑小学校 主幹教諭 佐藤裕美子氏

 幼稚園、小学校、中学校で連携をしています。幼稚園では「海に親しむ」をテーマに唐桑が大好きな子どもの育成を、小学校では「海を知る」をテーマにふるさと唐桑を愛する子どもの育成を目指しています。教室内外の学びと地域との連携が鍵となっており、学校支援委員会との連携のもとで、地域の産業と自然に関わる体験を実施しています。漁師さんに直接教えてもらえることは、子どもたちにとって何よりの学びとなっています。地域の人の努力を知ることで、新しい価値感と行動を生み出すことにつながっていると感じています。
 
②唐桑中学校 教諭 熊谷岳哉氏
 中学校では「海を守り利用する」がテーマです。今年は「まちづくり」に初めて焦点を当てて、NPOや企業、漁協など地域の人とのディスカッションを行いました。その後、4つのチームに分かれて自分達にできる取り組みを考えました。漁業チームはPR冊子の作成、観光チームはPR動画とマップの作成、食品チームは3年生源泉ごっつぉーセットの販売、伝統芸能チームは踊りを習って披露するに至りました。ニコンから写真の撮り方、博報堂から冊子の作り方を学ぶなど、実施に当たっては専門家との連携・協力がありました。また、子ども達が地域にかかわることで、伝統芸能保存会の活動が活性化するなど、地域に与えた影響も大きいと考えています。
 
■事例2「まちづくり、地域貢献の新たな動き」
 
3)公共計画として進める市総合計画(市民ワークショップ)
①震災復興・企画課 課長 小野寺憲一氏

 市の計画を「皆の計画」にしようと、市民140名が参加するワークショップを開催し、市民の意見を計画に反映させました。大震災をきっかけに、市民活動の芽生えがあった。やがてリーダーが誕生し、移住者によるまちづくりが始まります。市ではこれを受けて、Uターンの受け入れ、リーダー育成、気仙沼全体が学べるまち大学などに取り組んできました。ポーランドで取り組んでいる地元第一主義(ローカルファースト)、自分達の町に誇りを持つ「シビックプライド」を参考にしています。「ひと」を中心に町を作り直すことで、住民がキラキラ輝く、何かが起きそうな・起こせそうなわくわくする町にしたいし、チャレンジを応援する町にしたいと思っています。
 
②市民ワークショップ産業グループ(仙台高等専門学校) 小野寺弘晃氏
 市民ワークショップに参加した1参加者として報告します。市民の声と気仙沼のデータを比較すると、若者が求めるものと地域経済の状況に大きなギャップがあることが浮き彫りになりました。課題解決のコンセプトは産業に新しい魅力を創出して、このギャップを解消することです。ワークショップを行うことで、皆で課題意識を共有することができたと感じます。バックグラウンドが違くても共通の課題があるとわかりました。また、新しい価値の発見がありました。そして行政と市民の相互理解の場となったと感じています。市民のアクションの動機付けや後押しとなり、行政には手が出せなかった市民レベルの課題解決へとつながったと感じています。
 
4)人を育て、地域を元気にする取り組み
一般社団法人まるオフィス代表理事 加藤拓馬氏

 私自身はIターンで気仙沼にやってきました。団体のミッションは気仙沼に関わる若者の活動人口を増やすことです。気仙沼のために時間とお金を使う人を増やす必要があると考えました。外と内のマッチングも行いますが、将来に向けた種まきとして、地元の中高生が半日間漁師や農家の体験をする「じもとまるまるゼミ」という取組も行っています。地元を元気にするためには担い手を育てなければなりませんが、高校生はこの6年間海に入ったこともないと言い、漁師は30年度に気仙沼から漁師はいなくなると言っています。テーマは地元の暮らしがい、働きがいです。地域ぐるみの参画を促すことによって、この取組は地域の成長にもつながっていると感じています。地域の産業を体験した子どもたちが、いったん大学へ入るために地域の外へ出たとしても、また地域へ帰ってくる、あるいは外から地域を応援するような人に成長してもらえたらいいなと考えています。どうやって地域ぐるみで子どもたちを育てるのか、本気で考える時期にきていると感じています。

(4)全体協議
まるオフィスは唐桑中学校に対して漁師やデザイナーを紹介しただけです。一方で、地域にはこうしたつなぎ役がいないのだと実感します。つなぎ役にとっては活動資金が大きな課題になるため、地域に支え役の仕組みをどう作るかは課題です。
協働によって、やりがいの再発見ができます。そしてそれは地域の成長につながります。
協働で取り組むことで、子ども達の参画は地域の活気や意欲の向上につながります。
連携のメリットは地域が身近になることです。地域の魅力を知ることで愛着が育ちます。また、地域の中で自分がすべきこと、果たす役割を知ることが子どもの自信につながります。
教育課程の中に取り入れる難しさがあります。学校ごとに対応を考えるしかないと思います。
地域の力は学校で役立ちますが、同時に学校の力が地域で役立つようでなければならないと考えます。
人が変わると活動が止まってしまう傾向があります。仕組みにできないだろうか、とも考えますが、仕組みにすると魂が抜けてしまわないか懸念されます。
面瀬小学校のように、校長が変わっても取組が継続している事例もあります。継続は力なり、だと思います。

(5)総括
宮城教育大学 教員キャリア研究機構 教授 市瀬智紀氏

 
(6)閉会
気仙沼ESD/RCE推進委員会 委員長 白幡勝美氏

 
 ESD先進地として全国に知られる気仙沼では、各教育現場で地域のさまざまな主体と連携した取組が行われています。円卓会議では具体的な取組事例とともに、課題などが共有されました。東北地方ESD活動支援センターとしても今後、こうした現場の取り組みについて積極的に情報収集し、東北の事例として発信していきたいと思います。

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