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2018.03.05 レポート 

東北ESDフォーラム2018を開催しました(2/9、仙台)

【東北ESDフォーラム2018】
東北をESDの輪でつなぐ
持続可能な地域・社会の創り手を育成するネットワークの構築を目指して
 
日時:2018年2月9日(金)13:00~17:00
会場:TKPガーデンシティ勾当台 ホール2(宮城県仙台市青葉区国分町3-6-1 仙台パークビル2F)
参加:約110名
主催:東北地方ESD活動支援センター
   ESD/ユネスコスクール・東北コンソーシアム
   東北地方環境事務所
後援:日本ユネスコ国内委員会

=内容=
(1) 開会
 1)開会の挨拶
   小沢晴司氏(東北地方環境事務所所長)
 2)文部科学省より寄せられたメッセージ紹介
(2)講演
 1)講演Ⅰ「東北の復興を担う人材の育成とESD活動支援センターへの期待」
  小林正明氏(環境省顧問(前環境省事務次官))
 2)講演Ⅱ「持続可能な地域・社会の創り手を育成するESDネットワークの構築」
  及川幸彦氏(東北地方ESD活動支援センター企画運営委員長(東京大学))
(3)基調報告「ESDの可能性~福島環境回復の取組を通じて~」
 小沢晴司氏(環境省福島環境再生本部長(東北地方環境事務所所長))
(4)東北各県からのESD実践報告「持続可能な地域の創り手の育成を目指して」
 1)青森県:三浦麻子氏(NPO法人青森県環境パートナーシップセンター事務局長)
 「9-ブDE六つワン&9-ブDE食育」
 2)岩手県:渋谷晃太郎氏(岩手県立大学総合政策学部環境政策講座 教授)
 「岩手県における活動事例」
 3)宮城県:淺野亮氏(気仙沼市立面瀬小学校 校長)
 「持続可能な社会の創り手を育む学校経営を目指して~面瀬発!今を見つめ、未来へ漕ぎ出す環境・海洋プロジェクト~」
 4)秋田県:福岡真理子氏(一般社団法人あきた地球環境会議 事務局長)
 「多様な主体と連携したESDプログラム&ツール マレーシアSABA州での環境政策に係る企画・提案の作成支援教育」
 5)山形県:金澤裕子氏(NPO法人環境ネットやまがた)
 「ESD実践報告」
(5)ステークホルダー・パネル
「東北の取組をESDの輪でつなぐ:東北のESDネットワーク構築への提言」
 コーディネーター:及川幸彦氏
 パネリスト:
  市瀬智紀氏(宮城教育大学教員キャリア機構国際教育分野 教授)
  齋藤修一氏(只見町教育委員会 元教育長)
  中村隆行氏(独立行政法人国立高等専門学校機構 福島工業高等専門学校・校長)
  山岡講子氏(NPO法人環境会議所東北・専務理事)
 

講演Ⅰ「東北の復興を担う人材の育成とESD活動支援センターへの期待」
小林正明氏(環境省顧問(前環境省事務次官))

 環境と開発に関する国連会議を中心にこれまでさまざまな条約、宣言が採択されてきました。2015年に2030年までの世界目標として採択されたのが「SDGs」です。これらの国際的な動きに伴い、国内でも環境基本法や環境教育等促進法など環境教育の制度化が進められてきた背景があります。
 これから日本が直面する社会課題は、環境・経済・社会の課題の同時解決に向けた方向性が求められます。例えば、宮城県東松島市では再生可能エネルギーを導入し、災害公営住宅や病院、公共施設に電力を共有し、地域に雇用を創出した。防災エコタウンの実現を目指し、事業収益は復興支援事業にも還元しています。
 ESD推進においても、多様なステークホルダーの参画・連携が求められており、人材育成はもちろん、社会課題の同時解決に向けた取組が期待されます。
 
講演Ⅱ「持続可能な地域・社会の創り手を育成するESDネットワークの構築」
及川幸彦氏(東北地方ESD活動支援センター企画運営委員長(東京大学))

 持続可能な開発目標(SDGs)は、「誰も置き去りにしない」ことを強いメッセージとして掲げています。2001年から2015年までに取り組まれた「MDGs(ミレニアム開発目標)が途上国の目標であったのに対し、これを深堀し、すべての国の目標として17のゴールと169のターゲットを示しました。このうち東北においては目標14「豊かな海を守ろう」と目標15「陸の豊かさも守ろう」は、どの活動においても共感できるテーマだと考えられます。
 世界自然遺産である白神山地、世界文化遺産である平泉、只見町のユネスコエコパーク、ジオパーク、ラムサール条約登録湿地など、東北には世界に誇る自然や文化遺産があり、これらは全てESDの種となります。東北地方ESD活動支援センターは、これまで皆さんが取り組んできた活動をつなげ、支援することで、東北におけるESD活動の促進をミッションとしています。立ち上がったばかりの組織ですが、これからの活動に期待したいと思います。
 
基調報告「ESDの可能性~福島環境回復の取組を通じて~」
小沢晴司氏(環境省福島環境再生本部長(東北地方環境事務所所長))

 福島における取組をご紹介する。東日本大震災をきっかけに、福島を取り巻く状況は大きく変化した。除染、中間貯蔵施設の見通し、特定廃棄物の埋め立て処分、これらに伴い、地域の皆さんとのリスクコミュニケーションにも取り組んでいる。情報を伝えるための場所として、平成29年7月には「除染情報プラザ」が「環境再生プラザ」と改称し、新たな活動をスタートさせている。多くの皆さんに福島の現状を伝えたいと思っているし、知ってもらいたいと思っている。

 
東北各県からのESD実践報告「持続可能な地域の創り手の育成を目指して」
1) 青森県:三浦麻子氏(NPO法人青森県環境パートナーシップセンター事務局長)
「9-ブDE六つワン&9-ブDE食育」

 子どもたちに環境課題を自分事として捉えてもらうために、9つのボックスで楽しく学べるオリジナルツールを作成しました。食育では子ども達が学んだことを家で話し、それによってお母さん方が郷土料理を知って家庭で作るなど、子ども達が発信源となって広がりがみられています。
 
2)岩手県:渋谷晃太郎氏(岩手県立大学総合政策学部環境政策講座 教授)
「岩手県における活動事例」

 初期段階では岩手県全域で活発な取組が見られましたが、現在は対象が限定的で、実施者がESDを意識していないことが多く、環境への関心は低下傾向にあります。
 『さんりくESD閉伊川大学校』は東京海洋大学、NPO、漁業組合が連携して設立されたもので、地域住民が学習教材を作成し、子どもたちにを対象に学習会を開催しています。多様な主体の連携によるESDの取組事例として参考にしてもらいたいと思います。SDGsの展開の中で多様な主体が連携、協働しやすくなっていると感じており、SDGsの基盤としてESDが活用されることが期待されます。
 
3)宮城県:淺野亮氏(気仙沼市立面瀬小学校 校長)
「持続可能な社会の創り手を育む学校経営を目指して~面瀬発!今を見つめ、未来へ漕ぎ出す環境・海洋プロジェクト~」

 面瀬小学校では地域の人と関わり、自然と触れ合いながら、「海と生きる」ふるさと気仙沼の思いや考えを深め、自分の考えを表現し、行動できる児童の育成を目指しています。ESDで重視する価値を整理し、学校経営のグランドデザインの中にこれらを盛り込みました。面瀬小学校版SDGsと関連ターゲットを絞りこみ、ESDカリキュラムを作成しています。このカリキュラムは漁協や農協、観光協会、NPO,地域住民や大学など、さまざまな主体とのネットワークによって支えられています。
 ESDの成果として児童の変容はもちろん、教師の変容もみられ、より一層の充実・継続・発展を目指したいと考えています。
 
4)秋田県:福岡真理子氏(一般社団法人あきた地球環境会議 事務局長)
「多様な主体と連携したESDプログラム&ツール 
マレーシアSABA州での環境政策に係る企画・提案の作成支援教育」

 あきた地球環境会議では環境教育や地球温暖化防止など年間15件以上の事業を実施している。その中で、マレーシアコタキナバル市で地球温暖化対策のための環境授業を実施するなど、海外の主体との連携事業も実施しています。
 本年度は新たなプログラムツールの開発とESDの担い手育成のプロジェクトに取り組んだ。手段と手法を掛け合わせることで、「知識習得」が「知恵になる」と考えています。また、サバ州と秋田の高校生が地球温暖化防止活動プログラムを構築し、両国の高校生がマレーシアの小学生へ授業を実施するなど、ESDの若い担い手の育成にも取り組みました。さまざまな主体と連携した活動展開による波及効果は大きいと考えています。
 
5)山形県:金澤裕子氏(NPO法人環境ネットやまがた)
「ESD実践報告」

 山形の豊かな自然を守り、引き継いでいくためには未来を担う子ども達への環境教育の充実が重要と考え、小学生を対象としたプログラムの開発と実証に取り組んでいます。机に座って学ぶだけではなく、体験・活動し、自ら考えることを育むプログラムを目指しています。今後も県内の環境団体と連携し、持続可能な社会づくりに向けて自ら考える子どもを育む環境教育を推進していきたいと考えています。
 
ステークホルダー・パネル
「東北の取組をESDの輪でつなぐ:東北のESDネットワーク構築への提言」

 東北地方のESDの更なる推進に向けて、ESD活動で直面している課題や、地方センターがどのような機能を果たすことが求められるのか、今後の事業や取組に期待することについて議論が行われました。また、一般参加者からの発言を求め、フロアとの意見交換も活発に行われました。

 
≪主な意見≫
◆ESD活動で直面している課題
・子ども達がESDを学んだ、ユネスコスクールに通っていた自覚を持っていないことが多く、残念に感じている。
・組織運営にあたっては人材育成が課題になる。人材育成の場もあると良い。
・最大の課題は活動資金だ。
・防災教育を持続可能な教育にするためにはどうしたら良いのか悩んだ。
 
◆センターへの期待
・ユース活動に対する支援を期待する。人の循環を作ってもらいたい。
・現場での情報収集を大事にしてほしい。
・中小企業が環境配慮やCSRに取り組むことも重要と考えている。中小企業も参加できるメニューがあったら良い。
・学校現場では教員は忙しくなかなか浸透しない。啓発の機会を作ってもらいたい。
・ネットワークのためのネットワーク、触媒の機能を果たすことが重要なのではないかと思う。センターに情報を出したいと思わせることも大事だ。そのために表彰制度や事例集を出すなど具体の取組があると良い。

 
◆まとめ
 ESDセンターはリソースを持っていません。リソースは今日参加している皆さまであり、センターはそのつなぎ役です。ニーズに応じて現場に必要な人材等を派遣・提供できるかは課題です。あわせて予算の確保も必要となります。
 学校で教員は忙しいが、教育のために必要・意義があると感じれば、ESDに取り組んでくれるでしょう。 
 また地域の課題にどう向き合うかは大きな課題ですが、センターには頼らないでほしいと思います。地域の課題に向き合うのは、ここにいる皆さま方です。それに対してセンターができる支援は何かを考えていかなければならないのではないでしょうか。

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